招詞
正しい正しい人の救いは、主から来る。苦難のときの、彼らの砦(とりで)から。主は彼らを助け、解き放たれる。悪しき者どもから解き放ち、彼らを救われる。彼らが主に身を避けているからだ。 詩篇37篇39~40節
そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストゥスから出た。 これは、キリニウスがシリヤの総督であったときの、最初の住民登録であった。 ルカの福音書 2章1節
問① イエスの誕生がなぜ初代皇帝の住民登録の勅令の時期であったのか。
ローマの初代皇帝となったアウグストゥスによって実現した「パクス・ロマーナ」(ローマによる平和)は、言うなれば、軍事力によって打ち立てられた平和でした。人々は、皇帝アウグストゥスこそ共和制による覇権争いのすべてを終わらせた「救い主」だと信じていました。ところが「そのころ」、もうひとりの「救い主」が「ダビデの町」、すなわち「ベツレヘム」に誕生した(ルカ 2:11)ことをルカの福音書は伝えます。この「救い主」こそが、まことの「救い主」イエス・キリストです。
当時の人々は、「皇帝アウグストゥス」こそ、全世界のための救い主だとして歓迎し、彼の統治こそ「エウアンゲリオン」(福音)の始まりだと考えていたのです。そうした背景こそ、このルカの福音書2章1節の「そのころ」ということばが意味していることです。
次回は、②なぜベツレヘムか、です。 (銘形「アドベントの瞑想」から部分引用)